「1、2、3、4、5」と順番に言えるのに、物を正しく数えられない。
数字の「5」は読めるのに、ブロックを5個取ることができない。
このような場合、数字を覚えていても、数字と実際の量がまだ十分に結びついていない可能性があります。
数の学習で大切なのは、数字の読み方や順番を覚えることだけではありません。
数字を見たときに、「どれくらいの量なのか」をイメージできることが大切です。
1.数字を読めることと、数が分かることは違う 🤔
数字の力は一つではありません。
実は、次のようにいくつかの力に分かれています。
🧩 数の力の違い
| 子どもの様子 | 育っている力 |
|---|---|
| 「1、2、3、4、5」と言える | 数の順番 |
| 数字の「5」を読める | 数字の形の認識 |
| 5個の物を取れる | 数字と量の対応 |
| 1個ずつ数えられる | 一対一対応 |
| 「全部で5個」と言える | 全体の数の理解 |
例えば、「1〜5」と言えても、数字の「5」と「5個の物」が結びついているとは限りません。
👉 数字を読めることと、その数字が表す量を理解していることは別の力です。
2.数は「覚えるもの」ではなく「イメージするもの」 💭
数の順番や数字の読み方を覚えることも必要です。
しかし、数の理解で大切なのは、数字を見たときに、その数がどれくらいの量なのかを頭の中で思い浮かべられることです。
5
↓
● ● ● ● ●
このように、数字の「5」を見て、5個の物をイメージできることが数の理解につながります。
🧠「覚えている」と「イメージできる」の違い
| 覚えているだけ | イメージできている |
|---|---|
| 数を順番に言える | 数字が表す量が分かる |
| 数字を読める | 同じ数の物を取れる |
| 数字の形を覚えている | 指やブロックで数を表せる |
| 暗記した答えを言う | 具体物を使って考えられる |
数の順番を暗唱できても、量のイメージが育っていなければ、数の大小や計算でつまずきやすくなります。
数は、数字の形だけを覚えるものではありません。
数字と量を結びつけ、頭の中に量のイメージをつくっていくものです。
3.数字と量を結びつける 🔗
数字は「数を表す記号」です。
その記号を実際の量と結びつけるためには、ブロックやおはじきなどの具体物を使います。
✋「5」をいろいろな形で表す
| 方法 | 例 |
|---|---|
| 🔢 数字 | 数字カードの「5」 |
| ⚪ 具体物 | おはじき5個 |
| 🟥 ブロック | ブロック5個 |
| ✋ 指 | 指を5本出す |
| ● 点 | ● ● ● ● ● |
| 👏 動作 | 手を5回たたく |
| 🔔 音 | 鈴を5回鳴らす |
💬 声かけの例
- 「これが“5”だね」
- 「ブロックも5個だね」
- 「指も5本だね」
- 「全部同じ“5”だよ」
同じ数をいろいろな方法で体験することで、数字の形と量のイメージが少しずつ結びついていきます。
4.同じ数をいろいろな方法で体験する 🎯
数は、見るだけではなく、実際に触ったり動かしたりすることで理解しやすくなります。
🔢「3」の体験例
| 活動 | 内容 |
|---|---|
| ✋ 指 | 指を3本出す |
| 🟥 ブロック | ブロックを3個取る |
| ⚪ 並べる | おはじきを3個並べる |
| 👏 動作 | 手を3回たたく |
| 🖍️ 絵 | 丸を3個描く |
| 🔔 音 | 鈴を3回鳴らす |
🧭 数の理解の流れ
数字を見る ⇒⇒ 同じ数の物をとる ⇒⇒ 1個ずつ数える ⇒⇒ 全部で〇個 ⇒⇒ 数字と量が結びつく
「見る・触る・動かす・聞く」を組み合わせることがポイントです。
使う物や活動が変わっても、「3は3」「5は5」と理解できるようにしていきます。
5.「最後の数=全部の数」を教える 🧠
物を1個ずつ数えられても、「全部でいくつ?」と聞かれると、もう一度最初から数え直す子がいます。
❌ よくある様子
「1、2、3、4、5」
↓
「全部でいくつ?」
↓
もう一度「1、2、3……」と数え始める
これは、数の順番は言えていても、最後に言った数が全体の個数を表していることを理解していない可能性があります。
✅ 教え方
「1、2、3、4、5」
↓
「最後は何て言った?」
↓
「5」
↓
「そうだね。だから全部で5個だね」
💡 確認する流れ
- 物を1個ずつ数える
- 最後に言った数を確認する
- 「全部で○個」と言う
- 同じ数字のカードを置く
👉 最後に言った数が、全部の数だよ。
「数えること」と「全部の数を答えること」を、毎回セットにすることが大切です。
6.一対一対応を身につける 👆
一対一対応とは
一対一対応とは、一つの物に対して、数を一つずつ対応させることです。
おはじき ● ● ● ●
↓ ↓ ↓ ↓
数える声 1 2 3 4
指で触れる動きと数える声を合わせることで、同じ物を2回数えたり、数え忘れたりすることを防ぎます。
⚠️ 一対一対応が難しいときの様子
- 同じ物を2回数える
- 一部の物を飛ばして数える
- 指の動きと数える声がずれる
- 物より先に数える声が進む
- 途中でどこまで数えたか分からなくなる
👉このようなときは、「よく見て」「もう一回数えて」と伝えるだけでなく、正しい数え方を具体的に見せることが必要です。
7.一対一対応の練習方法 ✨

① 物を動かしながら数える
数える前の物と、数え終わった物を置く場所を分けます。
物を一つ動かすたびに、数を一つ言います。
数え方の例
【数える前】 【数え終わった物】
● ● ● ● → まだ何もない
1個目を動かします。
● ● ● → ●
「1」
2個目を動かします。
● ● → ● ●
「2」
同じように、1個ずつ動かしながら最後まで数えます。
💬 声かけの例
- 「1個動かしたら、“1”と言おう」
- 「次の1個を動かして、“2”だね」
- 「こちらにある物は、もう数えた物だよ」
👉数えた物と、まだ数えていない物がはっきり分かれるため、同じ物を2回数えたり、数え忘れたりしにくくなります。
② 物を一列に並べる
物がばらばらに置かれていると、どこまで数えたのか分かりにくくなります。
❌ ばらばら
● ●
● ●
✅ 一列に並べる
● ● ● ●
最初は、同じ大きさの物を同じくらいの間隔で一列に並べましょう。
数える順番が分かりやすくなり、飛ばしたり重複したりするミスを減らせます。
③ 1マスに1個ずつ置く
マス目のあるシートを使い、一つのマスに一つずつ物を置きます。
┌─┬─┬─┬─┬─┐
│●│●│●│●│●│
└─┴─┴─┴─┴─┘
「1マスに1個」と決めることで、物を重ねたり、マスを飛ばしたりしにくくなります。
④ 生活や遊びの中で練習する
生活の中にも、一対一対応を練習できる場面があります。
- 🧸 人形にお皿を1枚ずつ配る
- 🐶 動物の絵に食べ物を1個ずつ置く
- 🎴 家族にカードを1枚ずつ配る
- 🥤 コップにストローを1本ずつ入れる
- 🍪 お皿にお菓子を1個ずつ置く
💬 声かけ
「みんなに1個ずつあるかな?」
配る活動では、「一人に一つ」「一つの場所に一つ」という対応を自然に経験できます。
⑤ 数字カードと同じ数を取る
数字カードを1枚選び、書かれている数字と同じ数だけ物を取ります。
数字カード「4」 ⇒⇒ ブロックを4個とる ⇒⇒ 1個ずつ数える ⇒⇒「全部で4個」
最初は子どもだけに任せず、大人と一緒に数えながら確認しましょう。
8.どのくらいの数から始める? 🔢
最初から10までの数を扱う必要はありません。
子どもが理解しやすい少ない数から始め、できるようになったら少しずつ増やします。
📊 取り組む数の目安
| 段階 | 数の目安 | 主な活動 |
|---|---|---|
| ① 導入 | 1〜3 | 物を取る・指で表す |
| ② 基礎 | 1〜5 | 数える・並べる・配る |
| ③ 発展 | 1〜10 | 数字カードと量を対応させる |
数を増やしたときに間違いが多くなった場合は、一度少ない数に戻ります。
先の数へ進むことよりも、少ない数を確実に理解することが大切です。
「10まで言えるから10まで練習する」のではなく、実際に理解できている数に合わせて取り組みましょう。
9.教えるときのポイント 🌱
✅ 分かりやすくする工夫
- 少ない数から始める
- 同じ大きさの物を使う
- 物を一列に並べる
- 数えた物を動かす
- 指の動きと数える声を合わせる
- 数えた後に「全部でいくつ?」と確認する
- 数字カードと具体物を一緒に見せる
- 同じ数を指・物・音・動作で表す
❌ 避けたい声かけ
- 「違うよ」
- 「ちゃんと見て」
- 「もう一回数えて」
間違いだけを指摘しても、正しい数え方は分かりません。
💬 具体的な声かけ
- 「どこまで数えたかな?」
- 「1個ずつ動かしてみよう」
- 「数えた物は、こちらに置こう」
- 「指と声を合わせてみよう」
- 「最後は何て言ったかな?」
🌟 ほめるときは「やり方」をほめる
- 「1個ずつ上手に数えられたね」
- 「指と声が一緒になっていたね」
- 「数えた物を動かしたから、分かりやすかったね」
- 「最後に言った数を覚えていたね」
正解したことだけでなく、正しく数えられた方法や工夫を具体的にほめましょう。
10.数の理解は「数の大小」につながる 📈📉
数字と量が結びつくと、「どちらが多いか・少ないか」も考えやすくなります。
3個 ● ● ●
5個 ● ● ● ● ●
💬「5個のほうが多いね」
💬「だから、5は3より大きいね」
まずは数字だけで比べるのではなく、具体物を使って、多い・少ない・同じを体験することが大切です。
数の大小の詳しい教え方は、別の記事で紹介します。
🌟 まとめ
🧭 数の理解が育つ流れ
- 数字をみる
- 同じ数の物を用意する
- 1個ずつ数える・動かす
- 「全部で〇個」と答える
- 数の量をイメージできる
🎯 大切なポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 🔗 数字と量 | 数字と同じ数の物を対応させる |
| 👆 一対一対応 | 一つの物を1回ずつ数える |
| 🧠 全体の理解 | 最後に言った数が全部の数だと知る |
| ✋ 具体的な体験 | 見る・触る・動かす活動を取り入れる |
| 💭 数のイメージ | 数字を見て量を思い浮かべる |
数字を「読める」から、数を「イメージできる」へ。
数は、数字の形や順番だけを覚えるものではありません。
数字と実際の量を結びつけ、頭の中に量のイメージをつくることが、数の大小や計算を学ぶための大切な土台になります。

